築古戸建て投資では、価格や表面利回りだけを見て購入を決めると、後から大きな修繕費や再建築の問題が見つかることがあります。
一方で、物件探しから引き渡しまでの順番と、各段階で確認すべきポイントを押さえておけば、購入後の想定外は減らせます。
この記事では、不動産売買の実務と築古戸建ての運用経験をもとに、物件を探し始めてから決済・引き渡しを受けるまでの流れを解説します。
築古戸建て購入の全体的な流れ
築古戸建ての購入は、おおむね次の順番で進みます。
- 投資条件を決める
- 物件を探す
- 販売図面と公開情報を確認する
- 現地と建物を確認する
- 収支と修繕費を計算する
- 買付証明書を提出する
- 契約前の調査結果を確認する
- 売買契約を締結する
- 融資・保険・管理の準備を進める
- 残代金を支払い、引き渡しを受ける
物件によって順番が一部前後することはありますが、重要なのは「安いから先に買付を入れる」のではなく、重大なリスクを先に確認することです。

1.最初に投資条件を決める
物件を探す前に、購入条件をある程度決めておきます。
主な項目は次のとおりです。
- 購入エリア
- 物件価格の上限
- 現金購入か融資利用か
- 築年数
- 想定家賃
- 必要な利回り
- 修繕費の上限
- 駅距離や駐車場の条件
- 再建築や接道に関する許容範囲
- 水害などの災害リスクに対する基準
条件を細かく決めすぎると候補がなくなりますが、基準がないまま探すと、物件ごとに判断がぶれます。
「絶対に外せない条件」と「価格次第で許容できる条件」を分けておくと判断しやすくなります。
2.物件を探す
築古戸建ての主な探し方には、次のようなものがあります。
- 不動産ポータルサイト
- 収益物件専門サイト
- 地元の不動産会社
- 空き家バンク
- 競売・公売
- 知人や業者からの紹介
インターネット上の物件だけでなく、希望エリアの不動産会社へ条件を伝えておく方法もあります。
ただし、安い物件には安い理由があることが少なくありません。価格だけで候補を絞らず、土地・建物・法令・賃貸需要をまとめて確認する必要があります。
3.販売図面と公開情報で一次確認する
気になる物件が見つかったら、内見前に販売図面と公開情報を確認します。
最初に確認したい項目
- 所在地
- 価格
- 土地面積・建物面積
- 建築年月
- 間取り
- 接道状況
- 用途地域
- 建ぺい率・容積率
- 現況
- 引き渡し条件
- 再建築の可否
- 告知事項の有無
- 想定家賃
この段階で、ハザードマップや周辺の賃料相場、固定資産税評価の参考になる土地価格も確認します。
特に水害リスク、再建築不可、接道不足、著しい傾き、重大な雨漏り、告知事項などは、表面利回りより先に判断すべき項目です。
重大なリスクがある場合は、利回りが高くても候補から外す、または出口まで見込める価格でなければ進まない判断が必要です。

4.現地と建物を確認する
販売図面で大きな問題が見当たらなければ、現地を確認します。
建物で確認したい箇所
- 建物の傾き
- 基礎のひび割れ
- 外壁・屋根の劣化
- 雨漏り跡
- 床の沈みや腐食
- シロアリ被害
- 給排水設備
- 電気設備
- 浴室・トイレ・キッチン
- 建具の開閉
- 残置物
敷地と周辺で確認したいこと
- 境界標の有無
- 越境の有無
- 前面道路の幅員
- 敷地との高低差
- 擁壁やブロック塀の状態
- 駐車のしやすさ
- 近隣建物の状況
- 騒音や臭気
- 雨水が集まりやすい地形か
- スーパー、学校、交通などの生活利便性
建物内部だけでなく、道路・地形・近隣環境まで見ることが大切です。
可能であれば時間帯や天候を変えて再訪すると、最初の内見では気付かなかった問題が見えることもあります。
5.収支と修繕費を計算する
内見後は、購入価格だけでなく、取得費と修繕費を含めて収支を計算します。
取得時に見込む主な費用
- 売買代金
- 仲介手数料
- 登記費用
- 不動産取得税
- 固定資産税等の精算金
- 火災保険料・地震保険料
- 融資関係費用
- 残置物撤去費
- リフォーム費
表面利回りは、年間家賃を物件価格で割った数字です。しかし、実際の投資判断では取得費や修繕費、空室期間、管理費、固定資産税なども考慮します。
また、築古戸建てでは購入直後だけでなく、数年以内に必要になりそうな修繕も見込んでおく必要があります。
家賃を強気に設定し、修繕費を低く見積もると、計算上の利回りだけが高くなります。複数の家賃事例と、余裕を持った修繕予算で判断することが重要です。
6.買付証明書を提出する
購入したい条件が固まったら、買付証明書を提出します。
買付証明書には、一般的に次の内容を記載します。
- 購入希望価格
- 手付金額
- 契約希望日
- 決済希望日
- 融資利用の有無
- その他の購入条件
価格交渉をする場合は、根拠を整理して伝えます。修繕費が必要だからといって、その全額が当然に値引きされるわけではありません。
売主の事情、販売期間、他の購入希望者、引き渡し条件なども含めて交渉が進みます。
買付証明書は通常、売買契約そのものではありませんが、安易な提出は避けます。購入できる資金計画と意思が固まってから提出するのが基本です。
7.契約前の調査結果と重要事項説明を確認する
条件がまとまったら、不動産会社が契約前の調査を進めます。
重要事項説明では、少なくとも次の点を確認します。
- 所有者・権利関係
- 抵当権などの登記
- 法令上の制限
- 接道と再建築
- 私道負担
- 上下水道・ガス
- 境界・越境
- 契約不適合責任
- ハザードマップ上の位置
- 手付解除・違約金・融資特約
- 告知事項
説明を受けるだけでなく、事前に確認していた内容と矛盾がないかを照合します。
築古物件では、現況有姿や契約不適合責任を免責とする契約も多いため、引き渡し後に売主へ請求できる範囲を理解しておく必要があります。
不明点がある場合は、契約当日に初めて質問するのではなく、事前に資料を受け取って確認しておくと安心です。
8.売買契約を締結する
重要事項説明と契約内容に問題がなければ、売買契約を締結し、手付金を支払います。
契約時には次の内容を再確認します。
- 売買価格
- 手付金
- 残代金の支払日
- 引き渡し日
- 公租公課の精算方法
- 残置物の扱い
- 設備の引き渡し条件
- 契約解除の条件
- 融資特約
- 契約不適合責任
口頭で合意した条件がある場合は、契約書や特約に反映されているかを確認します。
9.決済までの準備を進める

契約後から決済までの間に、次の準備を進めます。
- 融資の本審査・契約
- 司法書士との登記準備
- 火災保険の選定
- 管理方法の決定
- リフォーム業者との打ち合わせ
- 鍵交換や残置物撤去の手配
- 入居募集条件の検討
空室物件では、引き渡し後すぐに工事へ入れるよう、事前に見積もりと工程を詰めておくと空室期間を短縮できます。
ただし、所有権移転前に工事を始めたり、売主の承諾なく物件を使用したりしないよう注意します。
10.決済・所有権移転・引き渡し
決済日には、残代金や各種精算金を支払い、所有権移転登記の手続きを行います。
一般的な確認事項は次のとおりです。
- 残代金の支払い
- 固定資産税等の精算
- 所有権移転登記
- 抵当権抹消の確認
- 鍵の受領
- 関係書類の受領
- 境界資料や設備資料の受領
鍵を受け取ったら、早めに現地を確認します。残置物、漏水、設備の状態、電気・水道の手続きなどを確認し、予定していた修繕や募集準備へ移ります。
築古戸建て購入で順番を間違えないためのポイント
築古戸建てでは、次の順番を意識すると判断しやすくなります。
- 重大なリスクがないか
- 土地と出口に価値があるか
- 賃貸需要があるか
- 修繕後の総額で収支が合うか
- 自分の資金と運用方針に合うか
高利回りに見える物件でも、水害、再建築、接道、傾き、雨漏り、告知事項などの重大な問題があると、購入後の選択肢が限られます。
反対に、建物にある程度の修繕が必要でも、土地値があり、賃貸需要と出口が見込める物件なら、価格次第で検討できる場合があります。
購入前の確認に役立つ関連記事
具体的な確認項目を一覧で使いたい方は、築古戸建て購入前チェックリスト30項目をご覧ください。購入判断で特に注意したいリスクは、築古戸建て購入前に確認したい10の注意点で整理しています。
現地での確認順序は、築古戸建ての内見チェックポイント15選、工事費・予備費・工期の組み方は、築古戸建てのリフォーム費用の考え方もあわせて活用してください。
まとめ
築古戸建てを買うまでには、物件探し、現地確認、収支計算、買付、契約、決済という複数の段階があります。
大切なのは、表面利回りや販売価格だけで判断せず、重大リスク、土地値、出口、賃貸需要、修繕後の総投資額を順番に確認することです。
購入を急ぐほど確認が抜けやすくなります。自分用のチェックリストを作り、物件ごとに同じ基準で確認すると判断のぶれを減らせます。
購入前チェックリスト、注意点、内見時の確認ポイント、リフォーム費用の記事を行き来しながら、物件ごとに同じ基準で確認してください。
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