築古戸建ては、売買契約と引渡しが終わればすぐに家賃収入が始まるわけではありません。
残置物の処分、修繕、設備確認、清掃、保険、募集条件の決定など、入居募集までにやることがいくつもあります。
準備の順番を決めずに進めると、工事のやり直しや募集開始の遅れにつながることもあります。
この記事では、築古戸建てを購入してから入居者募集を始めるまでの作業を、大家向けに順番に整理します。
1.引渡し時に鍵と書類を確認する
物件の引渡しでは、受け取る鍵の本数と種類を確認します。
- 玄関
- 勝手口
- 物置
- 門扉
- 郵便受け
- 窓・雨戸
など、建物に関係する鍵を一覧にしておきます。
あわせて、売買契約書、重要事項説明書、図面、測量資料、設備表、修繕履歴、保証書などを保管します。
2.火災保険を開始する
火災保険は、原則として引渡し日から補償が始まるように準備します。
火災だけでなく、風災、水災、漏水、破損、施設賠償など、物件と地域に必要な補償を検討します。
空室期間中の扱いや、リフォーム工事中の事故が補償対象になるかも確認しておきましょう。
3.電気・水道・ガスを使える状態にする
リフォーム、清掃、設備確認には電気と水道が必要です。
引渡し後すぐに使用開始の手続きを行い、
- 照明・コンセント
- 水栓
- トイレ
- 排水
- 給湯器
- ガス設備
を確認します。
ガスの開栓には立ち会いが必要になる場合があります。給湯器を使う予定なら、工事日程に合わせて予約しましょう。
4.残置物を確認して処分する
売主が残した家具、家電、生活用品などがある場合は、所有権と処分の合意を確認してから作業します。
処分する物を部屋ごとに分け、数量、運搬方法、処分費を見積もります。
家電リサイクル対象品、消火器、ガスボンベ、塗料などは通常のごみとして処分できない場合があります。
庭の物置、植木鉢、廃材、床下や屋根裏の残置物も忘れずに確認しましょう。

5.建物と設備を再点検する
荷物がなくなった状態で、購入前に見えなかった部分を確認します。
- 雨漏り跡
- 床の沈み・傾き
- シロアリ・腐食
- 水漏れ・排水不良
- 窓・建具・鍵
- 電気設備
- 屋根・外壁・雨どい
症状を写真に残し、「必ず直す」「募集前に直したい」「後回し」の3段階に分けます。
内見時の確認項目は、築古戸建ての内見で見るべき15項目も使えます。
6.リフォームの範囲と予算を確定する
工事は、安全性と生活に必要な機能を優先します。
- 雨漏り・水漏れ
- 危険な床や階段
- 壊れた給湯器
- 使用できない水回り
- 鍵・窓の不具合
- 危険な電気設備
などは、募集前に対応したい項目です。
見た目の改善は、周辺家賃と入居者層に合わせて判断します。
費用の考え方は、築古戸建てのリフォーム費用|購入前の考え方を参考にしてください。
7.工事の順番を決める
一般的には、解体・撤去、設備配管、下地、内装、器具取付、清掃の順で進めます。
先に清掃やクロスを終えてから配管工事をすると、仕上げをやり直す可能性があります。
複数業者へ依頼する場合は、誰が工程を調整するかを決め、工事日と完了予定を共有しましょう。
8.防犯と空室管理を始める
購入から入居までの空室期間は、侵入、放火、不法投棄、郵便物の滞留などに注意します。
- 鍵の交換
- 郵便物の回収
- 庭木・雑草の管理
- 定期的な換気・通水
- 外部照明の確認
- 工事用資材の管理
を行います。
詳しい対策は、空室中の戸建て賃貸の防犯対策7選も確認してください。
9.清掃と臭い対策をする
工事が終わったら、室内全体を清掃します。
- キッチン・浴室・トイレ
- 窓・サッシ
- 床・巾木
- 収納内部
- 換気扇
- 排水口
- 庭・玄関
を確認します。
カビ、排水、たばこ、ペットなどの臭いは、原因を解決せず芳香剤だけで隠さないようにします。
10.設備の動作確認をする
募集写真を撮る前に、設備を実際に動かします。
- すべての蛇口と排水
- トイレ
- 給湯・追い焚き
- 照明・スイッチ・コンセント
- エアコン
- 換気扇
- インターホン
- 窓・雨戸・網戸
不具合があれば、募集図面や契約内容と矛盾しないよう募集前に対応します。
11.家賃と募集条件を決める
周辺の戸建て賃貸を比較し、現実的な家賃を決めます。
あわせて、
- 敷金・礼金
- 管理費
- 駐車場
- ペット
- 保証会社
- 短期解約違約金
- 更新条件
- 退去時の費用負担
を整理します。
戸建て賃貸の家賃相場の調べ方|購入前の査定ポイントを解説も確認し、複数の不動産会社へ査定を依頼するのがおすすめです。
12.管理方法と入居者対応を決める
自主管理か管理会社へ委託するかを決めます。
自主管理の場合は、家賃の入金確認、滞納対応、設備故障、近隣トラブル、退去立会いなどの連絡方法を用意します。
緊急時に対応できない場合は、管理会社や修理業者との連携を検討しましょう。

13.募集写真を撮る
写真は明るい時間帯に撮り、室内の照明も点けます。
- 外観
- 各居室
- キッチン・浴室・トイレ
- 収納
- 設備
- 駐車場
- 庭・物置
を撮影します。
広角にしすぎて実際より広く見せるのではなく、清潔さと使い方が伝わる写真を意識します。
14.募集図面と広告内容を確認する
不動産会社が作成した募集図面は、公開前に大家側でも確認します。
- 住所・交通
- 間取り・面積
- 家賃・初期費用
- 駐車条件
- 設備
- 入居可能日
- 禁止事項・特約
に誤りがないか見ます。
使えない設備を掲載したり、軽自動車のみの駐車場を「駐車可」とだけ書いたりすると、内見後のトラブルにつながります。
15.内見に備える
内見前には、電気、水道、換気、臭い、庭、郵便受けを確認します。
玄関にスリッパを用意し、鍵の受け渡し方法や内見後の施錠確認も決めておきます。
内見者から質問されそうな、駐車台数、自治会、ゴミ出し、学校、設備の使い方なども整理しておくとスムーズです。
募集開始前の最終チェックリスト
- 危険な不具合を修繕した
- 水回りと給湯が使える
- 鍵・窓・照明を確認した
- 清掃と臭い対策が完了した
- 火災保険が有効になっている
- 家賃と募集条件を決めた
- 写真と募集図面を確認した
- 管理・緊急連絡の方法を決めた
募集条件と空室対策を仕上げる
修繕と清掃が終わったら、入居者層に合う設備や低コストの空室対策を検討します。設備を増やすだけでなく、募集写真、照明、家賃、初期費用などを一緒に見直しましょう。
まとめ|工事と募集準備を同時に進める
築古戸建ての購入後は、残置物処分、修繕、設備確認、清掃、防犯、募集条件の決定を順番に進めます。
すべての工事が終わるまで不動産会社への相談を待つ必要はありません。工事中に家賃査定や募集条件の相談を始めると、完成後すぐに募集しやすくなります。
購入前の全体チェックは、築古戸建てを買う前に確認したい10の注意点も確認してください。
購入から引渡しまでの流れは、築古戸建て購入の流れ|問い合わせから契約・決済・引渡しまでにまとめています。
入居開始までに必要な費用と日程を見える化し、空室期間を必要以上に長くしないことが大切です。

