空室中の戸建て賃貸では、人の出入りが少ない間に虫や小動物が入り込み、発見が遅れることがあります。久しぶりに巡回したら、床にふんのような物がある、天井から音がする、軒下にハチが出入りしている――そんな変化は放置せず、安全な範囲で状況を確認することが大切です。
ただし、害虫・害獣対策は薬剤をまけば終わるものではありません。侵入経路、餌や水、巣になりやすい場所を確認し、清掃・補修・必要な駆除を組み合わせます。この記事では、大家が巡回時に見る場所と、専門業者へ任せる判断を整理します。
危険を感じたら近づかないでください。ハチが多数飛んでいる、動物が威嚇している、天井裏や床下から強い音がする、ふんや死骸が大量にある場合は、建物へ入ったり自分で巣を壊したりせず、自治体や害虫・害獣駆除の専門業者へ相談しましょう。
※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。本記事は一般的な空室管理情報です。生物の捕獲、薬剤、廃棄物の扱いは、自治体の案内、法令、製品表示、専門業者の指示を確認してください。
害虫・害獣対策は「調査・予防・必要な防除」の順で考える
厚生労働省は、ねずみや昆虫の防除について、生息場所、侵入経路、被害状況を調査し、発生防止策を行ったうえで、必要に応じて薬剤などを使う考え方を示しています。空室管理でも、見つけた虫をその場で処理するだけでなく、なぜ入ったのか、再び入らないためにどこを直すかまで考えることが大切です。
巡回前に用意する物と服装
- 長袖、長ズボン、滑りにくい靴
- 使い捨て手袋または作業用手袋
- ライト、スマートフォン、メモ
- 必要に応じてマスク、保護メガネ
- 汚れた物を分けるための袋
素手やサンダルで入らず、暗い収納や草むらへ手を入れないようにします。虫よけ剤などを使う場合は表示どおりに使用し、体調が悪い日や真夏の長時間作業は避けます。
建物へ入る前に外から確認する場所
1.軒下・ひさし・雨戸ボックス
ハチが同じ場所を繰り返し出入りしていないか、巣のような物がないかを離れた位置から確認します。近づいてのぞき込む、棒でつつく、脚立へ上る行動は避けてください。
2.基礎の通気口・配管の貫通部
通気口の金網が破れていないか、配管と壁の間に隙間がないか、掘った跡やふんのような物がないかを見ます。通気口は換気に必要なため、自己判断で板やテープを使って完全にふさがず、補修方法を建物修繕業者へ相談します。
3.屋根・破風・換気フード
鳥や小動物が入りそうな破損、ずれ、穴が見えないかを地上から確認します。屋根へ上ったり、高所の開口部を自分でふさいだりしないでください。中に動物がいる状態で出口だけをふさぐと、建物内に閉じ込めるおそれがあります。
4.庭・物置・ごみ置き場
伸びた雑草、落ち葉、段ボール、植木鉢の受け皿、水のたまった容器、放置ごみがないか確認します。隠れ場所や餌・水になる物を減らすことが予防につながります。庭管理の方法は、空室の庭・雑草管理と近隣トラブル対策も参考にしてください。
5.玄関・窓・網戸
ドア下の大きな隙間、網戸の破れ、窓ガラスの破損、換気口カバーの外れを確認します。建物の機能を損なわない方法で補修し、広い隙間や原因が分からない穴は専門業者に見てもらいます。
室内で確認する場所
キッチン・洗面・浴室・トイレ
排水口、シンク下、収納の奥、便器の周囲に、虫、ふん、かじり跡、においがないかをライトで確認します。排水トラップの水が蒸発すると、においや虫の侵入につながることがあります。定期的な通水方法は、空室中の通水方法と注意点にまとめています。
押し入れ・クローゼット・天袋
紙類、布、段ボールなど巣材になりそうな残置物、粒状のふん、虫の抜け殻、かじり跡を確認します。収納の奥に手を入れず、物を動かす前に写真を撮ります。
天井・壁・床・配線まわり
天井のしみや穴、壁の引っかき跡、床際の隙間、配線のかじり跡がないかを見ます。配線が傷んでいる、焦げ臭い、照明が不安定な場合は触らず、電気工事業者へ相談してください。
小屋裏・床下の点検口
点検口は床に立ったまま見える範囲だけにします。小屋裏や床下へ入ると、転落、粉じん、動物との接触などの危険があるため、調査会社や建物修繕業者へ依頼します。
見つけやすい痕跡
| 痕跡 | 確認すること |
|---|---|
| 小さな粒やふんのような物 | 場所、量、形、大きさを触らず撮影する |
| かじり跡・傷 | 木材、食品容器、配線、断熱材のどこにあるか |
| 羽・抜け殻・死骸 | 室内のどこに集中しているか |
| 音 | 聞こえる時間、天井・壁・床のどこからか |
| におい | 部屋、収納、天井付近など強い場所を記録する |
| 穴・隙間 | 外部とつながっていそうか、周囲に汚れがあるか |
見た目だけで種類を断定せず、写真、発見場所、日時、量、音がする時間帯を専門業者へ伝えます。粘着トラップや薬剤をむやみに置く前に、対象と侵入経路を調べてもらう方が再発防止につながります。
種類別に注意したいこと
蚊・ハエ・コバエ
庭の容器、詰まった排水口、雨水が残る場所、室内の排水口などを確認します。不要な容器の水を捨て、落ち葉やごみを片付けます。殺虫剤だけに頼らず、発生源となる水や汚れを減らします。
ゴキブリ・アリ
残置された食品、段ボール、シンク下、排水口、ドアや配管まわりの隙間を確認します。食品やごみを撤去し、清掃してから侵入口の補修を検討します。薬剤を使う場合は用途と使用量を守ります。
ネズミ
ふん、かじり跡、天井裏の音、配線の傷みが疑われる場合は、素手で触らず写真を残します。毒餌や捕獲器は、誤食、回収、建物内で死ぬことによるにおいなどの問題があるため、置き場所と管理に自信がなければ専門業者へ依頼しましょう。
ハチ
軒下、戸袋、換気フード、植え込みへハチが出入りしている場合は近づきません。巣へ殺虫剤をかける、棒で落とす、出入口をふさぐといった対応は危険です。敷地への立ち入りを止め、自治体の相談窓口や駆除業者へ連絡します。
シロアリなど建物を傷める虫
基礎付近の蟻道のような筋、木部の空洞化、羽のまとまりなどがあっても、その場で壊したり薬剤をかけたりせず、位置を記録して専門業者へ調査を依頼します。雨漏りや床下の湿気など、建物側の原因確認も必要です。
ハクビシン・アライグマ・鳥・コウモリなど
野生動物は種類や地域によって捕獲・移動に許可が必要な場合があります。自己判断でわなを仕掛けたり、素手で追い出したりせず、自治体の鳥獣担当窓口や対応業者へ相談してください。中にいる状態で侵入口だけをふさがないようにします。
自分でできる予防策
- 食品、ペットフード、段ボール、布などの残置物を撤去する
- ごみ、落ち葉、雑草、水のたまる容器を片付ける
- 窓とドアを閉め、破れた網戸や小さな隙間を補修する
- 排水口を清掃し、定期的に通水する
- 湿気やカビを確認し、安全な日に換気する
- 毎回同じ場所を撮影して変化を比べる
建物全体の巡回項目は、空室中の戸建て賃貸の巡回チェックリストをご覧ください。湿気対策は空室中の換気方法とカビ対策でも解説しています。
殺虫剤・殺そ剤・トラップの注意点
薬剤やトラップは、対象が分からないまま数を増やすのではなく、製品表示に従って必要な場所だけで使用します。別の薬剤を混ぜる、表示以上の量を使う、食品や食器の近くへ置くといった使い方は避けます。
- 製品名、設置日、設置場所を記録する
- 内見者、作業員、子ども、ペットが触れないようにする
- 定期的に状態を確認し、期限が来た物は回収する
- 入居前に残置物や薬剤が残っていないか確認する
- 原因となる隙間・水・ごみを同時に改善する
専門業者へ任せた方がよいケース
- ハチの巣や危険な種類の可能性がある
- 天井裏・床下・屋根など危険な場所の調査が必要
- ふん、死骸、強いにおいが広い範囲にある
- 配線、断熱材、木部など建物の損傷が疑われる
- 野生動物の捕獲や追い出しが必要
- 市販品を使っても繰り返し発生する
見積もりでは、現地調査、対象生物、駆除方法、侵入口の封鎖、清掃・消毒、建物補修、再点検、保証、追加料金を分けて確認します。駆除だけで侵入口の補修が含まれない場合もあるため、作業範囲を書面で確認しましょう。
駆除業者との契約を急がない
害虫・害獣の発見時は不安が大きく、その場で高額な契約を決めてしまいがちです。政府広報は、害虫・害獣駆除などの緊急対応サービスについて、広告と実際の料金の違い、不安をあおる勧誘、追加作業、作業内容の不十分さに注意を呼びかけています。
- 電話で出張費・調査費・キャンセル料を確認する
- 緊急性が低ければ複数社から見積もりを取る
- 「完全駆除」「必ず再発しない」などの説明をうのみにしない
- 作業前に総額と追加料金の条件を書面で確認する
- 写真、調査結果、作業報告書、保証内容を受け取る
政府広報オンライン「緊急時の駆け付けサービスのトラブルにご注意」
対策後も巡回と再点検を続ける
駆除や補修が終わったら、次回巡回で新しいふん、音、におい、虫、隙間がないかを確認します。作業前後の写真、見積書、報告書、薬剤名、保証書を物件ごとに保存します。
空室期間が長い場合は、庭の清掃、通水、換気、郵便物の回収と一緒に点検すると効率的です。異変がなかったことも記録すれば、発生時期や再発の有無を判断しやすくなります。
まとめ
空室中の害虫・害獣対策は、まず痕跡と侵入経路を確認し、餌・水・ごみ・雑草・隙間を減らすことが基本です。薬剤やトラップだけに頼らず、清掃、通水、換気、建物補修を組み合わせます。
ハチの巣、野生動物、天井裏・床下、大量のふん、配線や建物の損傷が疑われる場合は、自分で対処せず専門業者や自治体へ相談しましょう。安全な範囲で定期巡回と記録を続けることが、早期発見と再発防止につながります。

