築古戸建ての内見では、室内の見た目だけでなく、購入後の修繕費や賃貸運営に影響する部分を順番に確認する必要があります。
クロスや床がきれいでも、雨漏り、傾き、シロアリ、給排水の不具合が隠れていることがあります。反対に、見た目が古くても、構造や設備に大きな問題がなく、必要な修繕を予算内に収められる物件もあります。
内見の目的は、その場で建物の安全性を断定することではありません。気になる症状を見つけ、専門業者へ確認すべき箇所と修繕見積もりが必要な箇所を整理することです。
この記事では、築古戸建ての内見で確認したい15項目を、現地で歩く順番に沿って解説します。購入判断全体の流れは、築古戸建てを買うまでの流れをご覧ください。契約や収支を含む確認項目は、築古戸建て購入前チェックリスト30項目もあわせて活用してください。
内見前に準備したい持ち物
内見では、スマートフォンだけでなく、次の道具があると確認しやすくなります。

- 懐中電灯
- メジャーまたはレーザー距離計
- 水平器(スマートフォンアプリは目安として使用)
- スリッパ、軍手、マスク
- コンセントチェッカー
- メモ、間取り図、撮影用スマートフォン
- 汚れてもよい服装と靴
売主や仲介会社の許可なく、床下や天井裏へ入ったり、設備を分解したりしてはいけません。水道・電気・ガスが停止している場合は、無理に作動確認せず「未確認」と記録します。
チェック1.周辺環境と接道状況
建物へ入る前に、前面道路の幅、接道間口、車の出入り、騒音、臭い、近隣建物の管理状態を確認します。
道路より敷地が低い、水路が近い、雨水が集まりやすい地形であれば、内水や浸水のリスクも考えます。昼間の内見だけでは分からない交通量や騒音もあるため、購入候補になった物件は時間帯を変えて再確認すると安心です。
チェック2.境界・越境・敷地内の高低差
境界標、塀、フェンス、樹木、物置、屋根や雨樋の越境を確認します。
擁壁や大きな高低差がある場合は、ひび割れ、膨らみ、排水穴の詰まりも見ます。現地で境界が分からない場合は、問題なしと判断せず、測量図や境界確認書の有無を仲介会社へ確認します。
チェック3.屋根・雨樋・軒裏
地上から見える範囲で、屋根材のずれ、割れ、さび、棟板金の浮き、雨樋の外れや変形を確認します。
軒裏の染みや剥がれは、屋根や雨樋から水が回っているサインの可能性があります。高所へ上る必要がある場合は自分で確認せず、屋根業者や建物調査の専門家へ依頼します。
チェック4.外壁・シーリング・開口部
外壁のひび割れ、反り、浮き、塗膜の剥がれ、チョーキングを確認します。窓まわりや外壁材の継ぎ目にあるシーリングが切れていると、雨水が入りやすくなります。
ひび割れは本数だけでなく、幅、方向、建物のどこに集中しているかを撮影します。大きなひび割れや同じ位置の内外に異常がある場合は、構造的な動きも疑います。
チェック5.基礎・土台・床下換気口
基礎のひび割れ、欠損、鉄筋の露出、補修跡を確認します。床下換気口が土や荷物でふさがれていないか、基礎まわりに水がたまりやすくないかも見ます。
細い表面ひび割れだけで直ちに危険とは限りませんが、幅が大きい、段差がある、複数箇所へ連続している場合は専門家による確認が必要です。
チェック6.玄関・窓・建具の開閉
玄関ドア、窓、室内ドア、引き戸を実際に開閉します。複数の建具が同じ方向へ勝手に動く、閉まりにくい、枠と大きくずれている場合は、建物の傾きや湿気による変形が考えられます。
一つの建具だけなら建付け調整で直ることもあります。建物全体の症状か、建具単体の問題かを切り分けます。
チェック7.床の傾き・沈み・きしみ
各室をゆっくり歩き、床の傾き、沈み、ふわつき、きしみを確認します。水平器は異常の有無を探す目安として使い、購入判断に影響する傾きが疑われる場合は専門家へ測定を依頼します。
傾きの原因は、不同沈下、基礎や土台の劣化、床組みの傷みなどさまざまです。数値だけで原因や修繕費を決めつけないことが大切です。

チェック8.天井・壁の雨漏り跡
天井、壁、押入れ、窓まわりの染み、クロスの浮き、木部の変色を確認します。新しいクロスで隠れていることもあるため、部屋の隅や収納内部も見ます。
雨漏り跡が乾いていても、原因が修理済みとは限りません。「いつ発生したか」「どこを修理したか」「工事記録があるか」を確認します。
チェック9.カビ・結露・室内の臭い
玄関を開けた直後の臭い、北側の部屋、押入れ、洗面所、窓まわりを確認します。
カビは清掃だけで解決する場合もありますが、雨漏り、漏水、換気不足、床下の湿気が原因なら再発します。消臭剤や強い芳香剤が使われている場合も、臭いの原因を確認します。
チェック10.シロアリ・木部の腐朽
玄関框、浴室や洗面所の周辺、勝手口、床下点検口付近など、水分の影響を受けやすい木部を確認します。
蟻道、羽アリ、木材の空洞音、木くず、土台の腐りが見られる場合は、被害範囲を専門業者へ調査してもらいます。防蟻処理の保証書や過去の施工記録があれば確認します。
チェック11.床下・天井裏の見える範囲
点検口があり許可を得られる場合は、懐中電灯で見える範囲を確認します。
床下では漏水、湿気、カビ、蟻道、断熱材の落下、配管の状態を見ます。天井裏では雨染み、木部の変色、断熱材、配線、動物のふんなどを確認します。見えない範囲は未確認として残し、必要ならインスペクションを依頼します。
チェック12.給水・排水・水圧
水道が使用でき、許可を得られる場合は、キッチン、洗面、浴室、トイレで通水します。水圧、赤水、排水速度、異音、臭い、床下や収納内の漏れを確認します。
複数箇所で同時に水を使ったときの変化も参考になります。水道が停止中なら、給湯器を含めて正常とみなさず、再確認または修繕予算を確保します。
チェック13.浴室・キッチン・トイレ
水回りは、設備の年式だけでなく、床や壁の傷み、コーキング、換気、漏水跡を確認します。
特に在来浴室は、タイルのひび割れや入口付近の木部腐朽が隠れていることがあります。設備交換だけで済むのか、下地や配管まで工事が必要なのかで費用は大きく変わります。
チェック14.電気・ガス・給湯設備
分電盤の容量、ブレーカーの数、コンセント、照明、エアコン用回路、給湯器の年式を確認します。
古い配線や容量不足があると、入居者の生活に合わず追加工事が必要になります。ガス種別、給湯器の動作、設置場所も確認し、停止中の設備は未確認として扱います。
チェック15.増築・残置物・採寸と修繕範囲
間取り図と現況が合っているか、増築部分や物置が登記・法令上どのように扱われるかを確認します。残置物は撤去範囲と費用負担を明確にします。
最後に、冷蔵庫、洗濯機、家具、カーテン、エアコンなどの設置寸法を測り、修繕が必要な箇所を写真と間取り図へ記録します。内見後は「必須工事」「募集前に行いたい工事」「入居後でも対応できる工事」に分けると、予算を整理しやすくなります。

内見で気になる症状が見つかったときの判断
一つの症状だけで購入可否を即断する必要はありません。次の順番で整理します。
- 症状の原因を特定できるか
- 被害範囲を確認できるか
- 修繕方法と概算費用を把握できるか
- 工期と入居募集への影響を見込めるか
- 総投資額に入れても収支が残るか
原因や費用が分からない項目は、楽観的にゼロ円とせず、未確認または予備費として扱います。特に傾き、雨漏り、シロアリ、基礎、給排水は、購入後に費用が膨らみやすいため慎重な確認が必要です。
見積もりの比較や予備費の決め方は、築古戸建てのリフォーム費用の考え方も参考にしてください。
購入前に注意すべき重大リスクの全体像は、築古戸建て購入前に確認したい10の注意点も参考にしてください。
まとめ
築古戸建ての内見は、周辺環境、敷地、外回り、室内、床下、設備の順に確認すると、見落としを減らせます。
見た目の古さだけで良し悪しを決めず、症状の原因、被害範囲、修繕費を把握できるかが重要です。その場で確認できない項目は未確認として記録し、必要に応じて専門業者やインスペクションを活用してください。
内見後は修繕項目を優先度別に分け、物件価格ではなく、取得費と修繕費を含む総投資額で購入を判断しましょう。
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